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Vol.09 虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)のはなし

心臓は全身に酸素と栄養を供給するために血液を送り出していますが、心臓自身も酸素や栄養がなければ働くことができません。心臓の周りを取り巻いて、心臓の筋肉に血液を供給する血管が冠状動脈です。この冠状動脈に動脈硬化などが起こり血管が狭くなったり、詰まったりして十分な血液が心臓に供給されない状況が基礎にあり、心筋の虚血によって発生するものを虚血性心疾患といいます。

冠状動脈の血液が一時的に不足して、激しい痛みを起こす「狭心症」と、血液の供給が完全にストップし、その先の心筋が壊死を起こす「心筋梗塞」があります。




狭心症

動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると、心臓の筋肉に必要な酸素や栄養が行き渡りにくくなります。急に激しい運動をしたり、強いストレスがかかると、心臓の筋肉は一時的に血液(酸素・栄養)不足となり、悲鳴をあげた状態になります。狭心症の痛みや圧迫感は、主に全胸部、特に左腕や背中に現れますが、一過性で、心臓の仕事量と血液の供給がつりあうと消失します。(通常1〜20分)

※労作性狭心症…階段を昇ったり、会議中のストレスなど日常の動作中、又はその直後に起こります。安静にすると1〜5分で治ります。

※安静時狭心症…運動や労作と関係なく睡眠中など安静時に起こります。自律神経の緊張のバランスが崩れやすい夜間から早朝にかけて発作が起こりやすいです。

注)どちらの症状の原因も血液中のコレステロールなどの脂質が血管内膜の中に溜まったもので、お粥のようにどろどろしていることから「弱種」(じゃくしゅ)ともいわれています。(アテローム硬化)

狭心症の薬には

発作時に使用する薬…ニトログリセリン、硝酸イソソルビド
発作を予防する薬…カルシウム拮抗剤、β遮断薬      等があります

心筋梗塞

「アテローム硬化」の血栓により血管が完全閉塞又は高度狭窄によって血液の供給が行われなくなり、心筋が壊死を起こした状態のものです。心筋梗塞も狭心症と同様に胸部に激しい痛みを伴う場合がほとんどですが、全体の15〜20%は無痛のこともあり、高齢者や糖尿病を持った人では痛みを伴わない例が多く見られるようです。しかし、心筋梗塞の胸痛は、狭心症よりも激しく、持続時間も30分〜数時間におよぶ場合があり、この場合ニトログリセリンは無効になり、麻薬性の鎮痛剤が必要になります。

心筋梗塞では、刺激伝道系が障害されると不整脈が現れたり、心不全や強い痛みのためにショック状態となり、放置すると致命的になります。

一刻も早く冠状動脈疾患集中治療棟(CCU)のある病院へいくことが大切です。心筋梗塞によって、いったん壊死した心筋は二度と再生することはなく、壊死の範囲が広いほど心臓のポンプ機能の低下が起こり、慢性の心不全となってしまいます。

虚血性心疾患の判定法

虚血性心疾患の程度は、心電図・負荷心電図・心筋シンチグラムなどの検査でわかります。また、必要があれば冠状動脈撮影を行います。この検査ではどこの冠状動脈のどの部分にどれくらいの狭窄があるかが一目でわかるようになっています。

虚血性心疾患の治療法

※投薬および生活指導を中心とした内科治療
 ○ PTCA(経皮的冠状動脈形成術=バルーン療法)
 ○ バイパス手術                           等があります。


予防するには

狭心症・心筋梗塞の危険因子

(1)高血圧 (2)糖尿病 (3)高脂血症 (4)運動不足 (5)喫煙 (6)肥満 (7)ストレス (8)高尿酸血症

上記の危険因子が増すほど動脈硬化が促進され、狭心症・心筋梗塞の危険度は高くなります。生活習慣の改善によって、高血圧や高脂結症のコントロールができない場合、医師に相談することが大切になります。

運動は狭心症・心筋梗塞だけでなく、糖尿病にも有効で、脂肪を減らしストレスも解消できるといった相乗効果があります。無理をしない程度で、軽く汗をかく位が良いでしょう。



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