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Vol.08 糖尿病のはなし(3)

糖尿病の早期発見

血糖値が高くなると、尿に糖が出るため、尿検査で発見されることがあります。尿検査は健康診断などで必ず行われ、また、尿検査薬の市販もされているので、早期発見のための最も手軽な方法でしょう。

糖尿病であるかどうかの検査には、血液を調べる血糖値検査もぜひ必要でしょう。空腹時の血糖値が110mg/dl未満であれば正常、126mg/dl以上であれば糖尿病と診断されます。その中間の場合は、境界型糖尿病と呼ばれます。

合併症の検査法

食事療法と運動療法によって血糖値を管理する目的は、合併症を防ぐことにあります。したがって、合併症が現れていないか常にチェックしておくことも、自己管理の一つとして重要なことになります。

糖尿病の合併症は、高血糖状態により、血管や神経が痛めつけられることによって起こります。その症状は全身に起こりますが、特に、網膜症・腎臓病・神経障害が、糖尿病の3大合併症といわれています。

医師の指導によって、年に1回は次のような検査を受けることをお勧めします。


※眼底検査

網膜症は、目の網膜にある血管に異常が生じて出血する病気で、大出血を起こすと失明する危険があります。


※腎臓検査(尿たんぱく検査)

腎臓の糸球体は、血液をろ過して老廃物を尿として排泄する働きをしていますが、糸球体に病変が起こり、機能が低下すると、通常なら排泄されないたんぱくが尿中に現れます。


※神経の検査

色々な検査がありますが、自覚症状によって発見されることも多いです。末梢神経伝道速度・振動覚閾値(しんどうかくいきち)・アキレス腱反射・呼吸心拍変動係数などです。


※動脈硬化の検査(コレステロール検査)

糖尿病は動脈にも障害を及ぼし、動脈硬化を促進して脳卒中や心筋梗塞を引き起こします。心電図・血圧・肝機能検査なども定期的にチェックすることをお勧めします。

生活上の注意

糖尿病の療養は生涯続けなければなりません。強固な意志を貫き、良好なコントロールを維持することが必要です。その為にも、食事療法と運動療法を併用し定期的に検査を受けることが必要になります。

血糖は常に一定というわけではなく、その変動のしかたも人によって微妙に違いがあります。そのため、よりきめ細かく血糖値をコントロールするには、医療機関での血糖値検査だけでなく、日常の生活の中で自分の血糖値をチェックし、自分の血糖の状態や、変化の仕方を常に把握しておくことも大切でしょう。

糖尿病と高血圧

糖尿病の人は、糖尿病や高血圧が互いに影響しあって、動脈硬化が進行した結果、脳卒中や心筋梗塞等を引き起こします。心臓病や脳血管疾患に及ぼす危険性を数値で見ると健康な人の危険度をとした場合、糖尿病で2〜3倍、高血圧で2〜3倍、両方になると6〜7倍にもなります。高血圧により、糖尿病性腎症が急速に進行しさらに網膜内の血管にも悪影響を及ぼし、網膜症の進行を加速します。

糖尿病の人の約60〜70%が高血圧といわれます。若いうちから血圧が上昇することが多く、罹患期間が長くなるため、合併症を招きやすく、特に2型糖尿病は高血圧症を合併しやすいので注意が必要です。


※糖尿病の人に高血圧が見られる理由は下記の通りです。

(1)高血糖で血液循環量が増える。
(2)肥満
(3)インスリン抵抗性が高い
(4)糖尿病性腎症を発症している


糖尿病と高血圧はいずれも症状のないまま進行し、さまざまな合併症を引き起こすため、慎重な注意と治療が必要といわれています。



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