トップページ > 健康レポート > Vol.07 脳卒中のはなし









Vol.07 脳卒中のはなし

脳卒中の種類と症状

脳卒中は長い間日本人の死因の第1位を占めていましたが、現在では悪性新生物・心疾患についで第3位に下がっています。現在は、脳卒中の医療技術が進歩し、脳卒中になっても命が助かる例が増えています。また、脳卒中の発生も減少傾向にあることが疫学調査からも分っています。ただ、同じ脳卒中でも、病気によって多少傾向の違いがあります。




脳卒中は、脳の血管障害の総称で、脳内の血管が破れる「脳内出血」、脳を覆っている軟膜とその上のくも膜との間で出血する「くも膜下出血」、血管が詰まる「脳梗塞」に大別できます。


脳卒中・脳内出血・くも膜下出血・脳梗塞・・脳塞栓(心原性塞栓症)・脳血栓・ラクナ梗塞

かつて日本人に圧倒的に多いといわれたのは、脳内出血でした。しかし、最近は脳内出血の原因である高血圧の治療や予防が進み、確実に減ってきています。

今回は脳卒中の中でも死亡率が60%以上を占める“脳梗塞”を取り上げます。


春先から梅雨にかけて起こりやすい脳梗塞

脳の動脈の内腔が途中で詰まってしまい、その先へ血液が流れなくなる病気です。その動脈から血液の供給を受けている脳の部分が、酸素不足に陥って死んでしまい(壊死)、はたらきが低下したり、失われたりします。

脳梗塞の発作は、突然あるいは少しずつ「手足の片側麻痺が起こる。ろれつが回らなくなる。まっすぐ歩けなくなる。ぼんやりする。」などの症状として現れます。脳は部位によってつかさどる機能が違うので、障害が起きた場所によって多様な症状が現れます。

時期的には春先から梅雨にかけて、季節の変わり目に起こりやすいようです。中には本格的な発作の前に一時的な発作(一過性脳虚血発作 ※)が起こることがあります。脳梗塞の重大な警告サインなので、見逃さないようにすることが大切です。

※ 一過性脳虚血発作
一時的に脳の血流が少なくなると、脳卒中に似た症状が現れます。20〜30分以内、長くとも1日以内でこの症状は治ります。片側の手や足がしびれたり、力がなくなったりします。また、急にろれつが回らなくなり、急に言葉が出なくなったりします。急に片方の目が見えなくなるという症状が現れます。



1.脳血栓
動脈硬化などにより血管が徐々に狭くなっていったり、詰まったりして起きるタイプ
高血圧・加齢・糖尿病・高コレステロール・高ヘマトクリット(血中の赤血球が多い)喫煙・酒の多飲

2.脳塞栓
心臓から流れてきた血栓(血のかたまり)が脳の血管に詰まって起きるタイプ
心臓弁膜症・心筋梗塞などの急性期等、心臓に病気があると心臓内に血栓ができやすいので要注意

3.ラクナ梗塞
脳の深部にある細い血管の動脈硬化によって、小さな梗塞が起こっているもの。
障害を受けている範囲が少ないので気づかない事がある。度重なるとさまざまな症状が出ることがある。


脳卒中がおきたとき

脳卒中は、発作がおきてから治療開始までの時間が、その後の後遺症などの予後に大きく関係するため、発作が起きたときの速やかな処置が肝心です。症状を見極めて落ち着いて処置し、すぐに医師に連絡することが大切です。


1.意識障害があるとき
楽な姿勢でよこたわらせる・呼吸をらくにさせ吐物などの誤嚥を防ぐ・大小便の失禁を調べます

2.医師・病院への連絡のポイント
どのような症状が、いつ起こったか。どんなふうにして起こりどう変わっているのかを知らせます


脳卒中の前触れを見逃さず、早期治療を受けましょう!




←健康レポート目次へ ▲ページトップへ